白内障と眼内レンズ

水晶体は、網膜にピントを合わせるというカメラのレンズのような役割をしています。
白内障は、水晶体が濁ってしまうことで光を通しにくくなり、ピント調節機能が正常に働かず、視力が低下する病気です。
そのため、白内障の手術では濁ってしまった水晶体を取り除き、代わりに人工の水晶体である眼内レンズを挿入することで見え方を回復させます。
手術で使用する眼内レンズには、どこか1つの距離にピントを合わせる単焦点眼内レンズと、2つ以上の距離にピントを合わせる多焦点眼内レンズがあります。

単焦点眼内レンズとは？

ピント調節機能が正常な若い人の目は、水晶体の形や厚さを変化させることで、近い場所から遠い場所までピントを合わせ、問題なく見ることができます。
しかし、年を取って老眼になるとピントの調節機能が衰えるため、最終的に1つの距離にしかピントを合わせることができなくなります。
眼内レンズは形や厚さを変化させることができないため、単焦点眼内レンズを目の中に埋め込むと、老眼の時と同じく1つの距離にのみピントが合った状態になるのです。

単焦点眼内レンズの
特徴と選び方

01どこか1点にピントを合わせる

単焦点眼内レンズは、近い距離・遠い距離・中間の距離のどこか1点にピントを合わせた眼内レンズです。

近い距離にピントを合わせた場合は？

手元にピントが合う単焦点眼内レンズを選んだ場合、遠くのものは裸眼では見えないため、近眼用のメガネが必要になります。

遠い距離にピントを合わせた場合は？

遠くの距離にピントが合う単焦点眼内レンズを選んだ場合、手元は裸眼では見えないため、老眼鏡が必要になります。

中間の距離にピントを合わせた場合は？

中間の距離（1m前後）にピントが合う単焦点眼内レンズを選んだ場合、近い距離も遠い距離もぼやけるもののまずまず見えますが、はっきりと見るためには遠近両用メガネが必要になります。

02保険が適用されます

単焦点眼内レンズは、すべてのレンズで保険が適用されます。
費用面からみて、選んでいただきやすいこともポイントの1つです。

03生活スタイルで選択する

患者様ご自身の生活のなかで、どんな作業や行動を重視しているかによって、レンズの種類やピントの距離を選ぶ方法があります。

「仕事で車を運転しなければならない」
「読書が趣味」
「パソコンを使った事務作業が多い」
「スポーツを楽しみたい」
「料理やスイーツ作りが好き」

など、クリアに見たい範囲と生活スタイルをもとに、患者様に合ったレンズを選択していただきます。